新日屋books 江戸を感じる本棚
松下幸子「江戸料理読本」ちくま学芸文庫 1100円(税別)
内容:江戸時代に刊行された二百余冊の料理書の内容と特徴、レシピを紹介。素材を生かし小技をきかせた江戸料理の世界をこの一冊で味わい尽くす。

江戸遊学にもご出演いただいた千葉大学名誉教授・松下幸子先生の著書『江戸料理読本』が文庫化されました。大正14年生まれ、御年87歳の松下先生は、調理学・料理史の専門家、江戸時代の料理研究の第一人者です。戦中・戦後の食料難も、高度経済成長期の合理主義も、飽食の現代も体験されています。懐古趣味の江戸本とは一線を画した、食について改めて考えさせられる一冊です。

「江戸時代の料理書を読み、料理法を試みたりしていると、手間を惜しまず、食べる人への心くばりも行き届いている当時の料理から学ぶことが多かった。<中略>時代は移り、社会は変化し、時間に追われる現代の生活では、中食や外食の増加は当然のことかも知れないが、それによって得られた時間は有効に活用されているのだろうか。心身の機能は使わないと衰退することはよく知られているが、献立を立てて食材を選び、おいしい料理を作る能力も、使わなければ衰退する筈である。本書で紹介した江戸時代の料理を、一つでも試作していただけることを願っている。」      『江戸料理読本』(ちくま学芸文庫)「はじめに」 から抜粋

文庫のカバー写真は、江戸遊学の打ち合せ時にYUITOロビーで撮影した思い出の一枚。うれしい記念です!

投稿:塚本

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