京友禅の老舗・千總の村上哲次さんにお話いただく「きもの語り」は、友禅の様々な技法を取り上げています。7月は「一珍染め」。一珍糊だけでなく、様々な糊についてもお話いただきました。

一珍糊は、小麦粉を煮て、糠、消石灰、布海苔等を混ぜて練り上げたもの。素朴な味が特色です。糯糊に比べて粘りに欠けるので細い線が描きにくく、乾燥後に亀裂が入って生地からはがれやすいなど難しい技法です。

千總ではこれに染料をいれて、写し一珍糊をつくり、先金を付けた筒紙で描きます。糊が防染と染料を兼ねるのが特徴です。

今月の逸品きものは写真の訪問着。素朴なはずの一珍染めの着物ですが、教室からおもわずため息がでるほど、上品に洗練された着物でした。

ぽってりとした隈や細かいひび割れが特徴です

この道40年の一珍染めの職人・蒲池さんが送ってくださった道具も見せていただき、熱い思いがこもった手紙も読んでいただきました。

投稿:塚本

 

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