④ ナタマメ  鉈豆、刀豆(マメ科)

別名・・・剣豆・帯豆

名の由来・・・大形の偏平なサヤの形から舵に似ているからついた名

江戸時代初期に日本に渡来し、花も豆も白と赤に分けられます。豆のサヤは大きさが30㎝以上になりとても大きく固い豆です。サヤが固いので保存がききます。豆を取り出す時は、ねじるかドライにしないとなかなか割れません。中の豆も大きく、1つのサヤの中には10数個並んで入っています。食べられますが、固くてあまり美味しくはありません。サヤが若い10~20㎝くらいの時に採集して漬物にすると美味しくいただけます。サヤを食べることになります。

 

十三夜の豆名月にはこんな珍しい大きな豆をつるを少しつけて供えてみてはいかがですか。存在感抜群です!!もちろんその他の豆、枝豆なんかでもよろしいですよ。

ナタマメにちなんだ話

ナタマメは成長して実がなり始めると、つるの元から実がつき、なり終わるとつるは再び元のところに戻ってくる習性があり「円相」の表現や成功して家に帰って来るようにとの願いをこめ、「故郷に錦を飾る」との意味もあります。昔、出陳の武士の食膳には勝栗・福神漬と一緒にナタマメがそえられたと言います。

NHK大河ドラマ「篤姫」に、ナタマメにまつわる場面がありました。

薩摩藩の下級武士が江戸屋敷に仕えることになり、仲間が餞別を持たせて送り出すシーンで、仲間のひとりが大きなサヤのナタマメを持たせました。月日が過ぎて、その武士は役目を果たすことなく早めに帰され、ガッカリと仲間との再会をしました。その時、「おまえがナタマメなんか渡すから戻って来たんじゃないか」と問い詰められていました。この場面を見た時、なるほど、ナタマメの意味はおもしろいなと思ったものでした。昔からそれだけインパクトのある豆だったのでしょうね。

福神漬に入っているコリッとした歯ざわりのある小片は、ナタマメのサヤが小さいうちに細く切ったものです。福神漬は、大根、ナス、ナタマメ、レンコン、キュウリ、シソの実、シイタケといった七種の野菜を「七福神」になぞらえ福神漬と命名した説があります。ナタマメの細長い形は、七福神の布袋様の頭に見立てているといいます。昔から縁起のよいお漬物として親しまれてきました。7月29日が福神漬の日とした意味は七福神=七=7と福=ふく=29の語呂合わせからのようです。

投稿:染子(室礼伝承会講師)

カテゴリー:イベントレポート