ユウガオ  夕顔  ウリ科つる性一年草

別名:干瓢(カンペゥ)、顔瓜(カオウリ)、長瓢(ナガフクベ)、瓢箪瓢(ヒョウタンヒサゴ)

一般的に「夕顔」の花と言われる白い大型の花で、同じく夕方から咲かせるのも通称夕顔とよんでいますが、ヒルガオ科のツル性のもので、主に鑑賞用として花を愛でるもの、別名「夜会草」と言われています。今回の夕顔の花も、やはり小型で白い花を夕方から咲かせ、朝にはしぼんでしまいます。

果実の形には丸いものと長いものがあり、果皮の色は青緑色、白色などがあります。同じ種類でフクベ、トウガン、長トウガン、丸トウガンなどの品種があります。

長夕顔・・・長細く、60センチにもなり主に食用として、煮物などに使われます。

丸夕顔・・・「フクベ」とも言われ、丸い大型でこれも生のまま煮たりするが、熟すると皮が堅くなるので器物として利用されたりします。この夕顔の皮をむき干したものが「干瓢」となります。

夕顔の花も夕刻から咲くので、果実を確実に結実させるため、花が咲いている暗いうちに人手により受粉させる作業があり、収穫も早朝です。晴天の日に、一番に乾燥させるため、朝暗いうちからの作業が続きます。収穫されたらすぐに皮むき機で皮を削り、ひも状にしたものを早く乾かします。短時間で行う訳は、朝一で乾かさないと変色したり、腐ってしまったり、カビたりしないように手早い作業が必要なのです。

数年前、干瓢の産地である栃木県下野(しもつけ)地区二宮町あたりで、畑でゴロゴロころがっている夕顔の実を見つけ、生産農家のお宅で大きい夕顔の実をいただきたく見学させてもらったことがあります。お庭の作業所には収穫された夕顔の実が所狭しと山積みにされていました。ご主人から皮むき機械を使って削る作業を見させていただき、グルグル回る様が無駄なく薄く削り、ひも状のものがシュルシュルと飛びかい、それをすぐにまとめて干していきます。一日で干しあがるのがベストだということです。お庭には天日干し用、ハウス内での干し場とがあり、ハウス内では大型の扇風機が備えられ、風通しよく送風し、干瓢が揺れていました。この地区は夏ともなれば、雷が多く、雨との闘いがつきまといます。作物の生育上、雨が必要、しかし天日干しには急な雨はこまりもの。しかしながらこの地では雷は「雷様(らいさま)」と言って崇めているとのことです。

 

ここのお宅ではご自宅ですべての過程をこなしているとのこと。黄硫をかけないで、自然の天日干しの干瓢も作っていました。長期保存方法として黄硫を使った効能で、製品の品質を保っているそうです。

 

自然の味、太陽の味がする天日干しを分けて頂きました。干瓢は味らしい味がないですが、何か特別においしく感じられ、地元の人、おすすめの食べ方、味噌汁の具にしていっぱい食べました。新しいものは弾力もあり、歯ごたえよく、ノンカロリーのヘルシー食品でもあるので、多いに利用したいものです。

栃木県は全国の9割を占める干瓢の産地です。因みに、関西地方に出荷用の干瓢の幅は関東より広いそうです。「恵方巻き」で有名な関西の「太巻」用だとか。関東は「細巻き」用だとか・・・・。

夕顔の実は皮が堅くなり細工物として茶の湯の世界では「炭取り」の器などに考案されています。干瓢は水分の多い柔らかい夕顔の果実を保存する食品としていろいろ工夫して完成されたと思われます。

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