明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

お正月のお節に入っている食材のなかで、
この時期以外には
あまりお目にかかることのないもののひとつに
「クワイ」と「チョロギ」があります。
この二つはなかなかユニークな形で、
土の中で育っていて、姿・形がおもしろい縁起物の野菜です。

○クワイ(慈姑) オモダカ科 水生植物(中国原産)
水田の中で栽培されます。
イモに似ていますが、地下茎の先端が肥大して、
大きな芽を出しています。
この部分の芽を「芽が出た=お芽でたい=おめでとう」
という意味に解し、お正月の縁起物として、
祝いの膳に添えられています。

葉は形が「鍬・クワ」に似ていて、
水の中の芽の代表で「地の中の栗」ということから
「地栗」ともいわれています。
一本の茎に多いときは12個もつくということから、
子孫繁栄の意味としてもめでたいものです。

別名・・・地栗(じくり)・慈姑(じこ)
・剪刀草(せんとうそう)・久和井(くわい)など

葉の形が「鍬・くわ」の形に似ているので別名「剪刀草(せんとうそう)」とも言われている。剪とは鍬のことで、葉の形をたとえている。オモダカの葉ともよく似ていて、白い花も似ている。オモダカの栽培変種が「クワイ」である。タコの足のような地下茎の先にかわいいクワイがついている姿に驚きビックリ!!

関東地区では埼玉県越谷市が産地と聞き、
数年前、水田で栽培している生産農家のお宅を訪ね、
現場見学させていただき、
とても珍しい収穫風景を見ることができました。

12月初旬の頃、今が盛りの掘り上げ時期でとても忙しいなか、
現場作業を見て、驚くことばかりでした。

このお宅はご家族だけで作業をしていらっしゃって、
男の方が主に水田の中に入って作業しておりました。
冷たい水の中に腰までつかり、中腰の作業は
老いた身のおじいちゃんには
なかなかキツそうな様子でした。

作業は蓮根の掘り上げの要領とよく似ていて、
水圧ポンプを利用し、ホースの水を強くかけて
地下の根をすくいあげていくのです。
昔はこの作業もすべて手で行っていたので、
大変だったと・・・。
今ではこのやり方でとても楽になり
助かっているとのことです。

ホースの水圧で、せっかくの芽を傷つけないように
掘り起こすことが大事で、
注意すべきことのひとつだそうです。

掘り起こされた茎は枯れていますが、
水面に浮き出てきます。
すると別の人が棒でかき寄せ、
手元で茎の先についているクワイを
大小の大きさに分けながら容器に入れています。

その間ずっと、冷たい水の中に入ったままで、中腰状態で
なかなか男の体でも疲れるとおっしゃっていました。

全部とり終わった茎・根は
そのまま水の中に放置しておくのかと思いきや、
すべて取り上げて乾燥させ、焼却するそうです。
来年の植えつけまで水田の状態にしておくそうです。
植え付けは6月、成長する8月頃、花も咲くらしいですが、
家人もほとんど気づくことはなく、
目立たない白い花で、あまり咲かないようです。

しかし花が咲かなくても
地下茎の球茎には影響もないとのことです。
オモダカの花とよく似た白い花です。
夏の間、ドンドン成長し茎も伸びてきます。
12月になり、霜が降り始めると、
茎や葉が枯れ、折れて倒れる頃、
水田に入り収穫する時期になります。

こんなタコの足のような形の先に
クワイがくっついているなんて、
想像もしていなかったのでびっくりでした。

帰路の途中、直売所にて買い求めたクワイですが、
これだけの手間や収穫量からして、
値段の高いのもうなずけるものでした。
この経験はとても貴重なことで、納得のいく話しも伺え、
このかわいいクワイはこれから格付けが「上」になります。
料理としては含め煮、洋風のクリーム煮、
小ぶりのものはそのまま素揚げにすると美味です。

残っていたクワイを春になってから
水がたまる容器に土を入れ、
水を入れた中に植えてみました。
新しい芽が出始め、緑色の茎も伸び、
葉も成長し、初夏には涼しそうな姿になり、
ガラスの器に根洗いで入れて鑑賞すると、
根も美しく、とても涼しげで、夏場は楽しめます。
(茎は折れやすいので扱いを注意すること!)

お正月 お節の食材 その2 ~チョロギ~ につづく・・・

投稿:染子

カテゴリー:日々の出来事